変形性膝関節症
変形性膝関節症
ひざ関節は太ももの骨(大腿骨:だいたいこつ)とすねの骨(脛骨:けいこつ)で構成されております。
骨の表面には軟骨があり、その間にクッションとなる半月板があり、それらの部分はレントゲンではうつらないため、大腿骨と脛骨の間がすき間となって見えます。
老化、外傷、肥満などにより軟骨や半月板がすり減って、関節のすき間がなくなってしまい、骨に負担がかかって痛みが出ている状態を「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」と言います。
初期では立ち上がりや歩きはじめなど動作の開始時のみに痛みを感じますが、症状が進行すると、正座ができなくなったり、階段の昇降がつらくなったりし、さらに進行すると外見上も明らかに膝の変形がわかるようになり、安静時の痛みが生じ、歩くときにも膝が伸び切らない状態となります。
2009年の報告では日本人全体で2500万人に変形性膝関節症が生じていると推定されており、高齢化が進んでいる現在では更に多くなっていると考えられております。
原因は関節軟骨の老化が多いとされております。
発生・進行のメカニズムとしては加齢だけでなく、肥満(過体重)、女性(筋力が弱い)、膝関節に負荷をかける職業といった力学的負荷の増大も考えられております。
外傷に伴う骨折、軟骨や半月板などの損傷による膝の炎症、化膿性関節炎などの感染の後遺症も原因と考えられております。
問診、身体所見をもとに膝関節や股関節、足関節の状態を評価します。
身体所見では圧痛点(押して痛い部分)の有無、関節可動域(うごきやすさ)、腫脹やO脚変形の有無を調べます。
レントゲンでは関節のすき間の大きさ、軟骨下骨(軟骨の下にある骨)のいたみ具合を評価したり、骨棘(こつきょく)といわれる関節の中や周囲に生じる異常な骨組織、骨嚢胞(こつのうほう)と呼ばれる骨の空洞を評価して重症度を検討します。
必要に応じてCTやMRIを用いて、レントゲンで分からない骨のダメージや軟骨や半月板、靱帯など骨の周囲の組織、関節内の炎症の評価などを行います。
問診、身体所見、画像所見を踏まえ、総合的に診断となります。
症状が軽い場合には痛み止めの内服薬や外用薬を用います。
痛みがあると動かすことが減ってしまい、筋力が落ちてしまったり、柔軟性が低下してしまったりすることで、結果として痛みを悪くさせてしまうことがあるため、大腿四頭筋強化訓練、関節可動域訓練などの運動器リハビリテーションが効果的とされております。足底板や膝装具による対応をする場合もあります。
これらの保存療法でも症状が取れない場合は手術療法を考えます。
変形が少なく、年齢が若い場合には関節鏡(内視鏡)手術や自分の骨を生かして行う骨切り術を行うこともありますし、関節の変形がすすんでいる場合には人工膝関節手術の適応となります。
術後のリハビリが有効であることはもちろんのこと、術前からリハビリを行うことで術後の回復が早くなり、入院期間の短縮につながることが示されているため、手術の有無に関わらず運動療法を検討することは大切です。
現時点では当院での手術は難しい状態ですが、専門病院での経験を活かし、病態に応じ適切な医療機関との連携をとり治療を進めさせていただきます。
術前後のリハビリ、投薬、必要な検査など必要に応じて対応させていただきます。