集束型体外衝撃波
集束型体外衝撃波
体外衝撃波治療(Extracorporeal Shock Wave Therapy:ESWT)は、体の外から患部に高い圧力を持つ音響波(衝撃波)を照射することで、痛みの軽減や組織修復の促進を目指す治療法です。もともとは腎結石などの破砕に用いられていた技術ですが、現在では足底腱膜炎やアキレス腱障害、テニス肘などの慢性的な腱・腱付着部障害を中心に、整形外科・スポーツ医学の領域でも活用されています。
体外衝撃波治療の作用は、大きく「疼痛の軽減」と「組織修復を促す生物学的反応」の2つに分けられます。
これらの作用機序に加え、当院で使用する集束型体外衝撃波の特徴について、以下の図で解説します。

私たちの体には、痛みを感知する「自由神経終末」と呼ばれる末梢神経の末端が存在します。
慢性的な腱障害では、組織の変性や神経・血管の増生などによって、痛みが持続することがあります。
体外衝撃波を照射すると、基礎研究では自由神経終末の構造や機能に変化が生じることが報告されています。
さらに、痛みの伝達や神経原性炎症に関与するSubstance P(サブスタンスP)やCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)などの神経ペプチドが減少することも報告されています。
これらの作用が、体外衝撃波治療による疼痛軽減に関与していると考えられています。
ただし、詳しい鎮痛機序は完全には解明されておらず、すべての患者さんで同じ効果が得られるわけではありません。
体外衝撃波治療は、単に痛みを和らげるだけでなく、組織修復に関わる生物学的反応を引き起こす可能性があります。
その中心となるのが「メカノトランスダクション(Mechanotransduction)」です。
これは、細胞が受けた機械的刺激を細胞内の生化学的シグナルに変換する仕組みです。
衝撃波による刺激に対し、基礎研究では次のような変化が報告されています。
VEGF(血管内皮増殖因子)などの発現増加
血管新生に関わる反応の促進
コラーゲン産生や組織修復に関わる反応
炎症に関わるシグナルの調節
これらの作用を通じて、慢性的な腱障害や腱付着部障害などの修復環境に影響を与える可能性があると考えられています。
ただし、これらは主に基礎研究で報告された作用であり、実際の患者さんで組織再生が必ず起こることを意味するものではありません。
体外衝撃波治療には、主に「集束型」と「拡散型(放射状圧力波)」があります。
集束型は、衝撃波のエネルギーを特定の領域に集中させる方式で、深部の腱や腱付着部など、局所的な病変への照射に適しています。
当院では、集束型体外衝撃波治療装置「SCRUM」を使用し、診察所見や必要に応じた超音波検査などを参考に、治療対象を評価します。
慢性的な腱障害やスポーツ障害では、痛みの軽減だけでなく、筋力、柔軟性、関節可動域、運動動作などへのアプローチも重要です。
当院では、体外衝撃波治療を単独で考えるのではなく、疾患ごとの運動療法や生活指導も含めて、患者さんに適した治療方針を検討します。
当院では、国際衝撃波治療学会(ISMST:International Society for Medical Shockwave Treatment)の適応分類・ガイドラインや医学的研究を参考に、医師が症状や病態を評価し、治療の適応を判断します。疾患によって、治療効果に関する医学的根拠の強さは異なります。
・足底腱膜炎(足底筋膜炎)
・アキレス腱症・アキレス腱付着部症
・膝蓋腱症(ジャンパー膝)
・大転子部疼痛症候群
・石灰沈着性腱板炎
・上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
・上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
・腓骨筋腱障害、その他の足部・足関節の慢性腱障害
・鵞足部腱障害(鵞足炎)
・内転筋腱障害(グロインペイン症候群)
・シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
・筋筋膜性疼痛症候群
・腱板症・非石灰性腱板炎
・オスグッド・シュラッター病(成長期の方は骨端線の状態を踏まえて慎重に判断します)
・変形性膝関節症
・ばね指(狭窄性腱鞘炎)、ドケルバン病
・軽度~中等度の手根管症候群
・骨髄浮腫を伴う病態
体外衝撃波治療は、骨折遷延癒合・偽関節、疲労骨折、早期の骨壊死、離断性骨軟骨炎などへの応用も研究されています。ただし、骨疾患への治療には高エネルギーの集束型衝撃波や正確な位置決めが必要な場合があり、当院での実施可否は個別に判断します。
治療の適応について
ISMSTの適応分類は、日本国内の保険適用や個別医療機器の承認を意味するものではありません。医師が診察・検査の結果を踏まえ、治療の必要性や適応を判断します。
参考資料
国際衝撃波治療学会(ISMST)
ISMST Recommendations
ISMST ESWT Guidelines(2023年版)
診察で疼痛部位や症状、これまでの治療歴などを確認します。
必要に応じてレントゲンや超音波検査などを行い、治療部位を確認したうえで体外衝撃波を照射します。
照射中には痛みを感じることがありますので、状態を確認しながら治療を行います。
症状によっては複数回の治療をご提案する場合があります。
本治療は自由診療となります。医師が診察のうえ、治療の適応を判断します。
| 項目 | 料金(税込) |
|---|---|
| 集束型体外衝撃波治療(1部位・1回) | 8,800円 |
| 集束型体外衝撃波治療(同日2部位) | 15,400円 |
| 自費初診料 | 3,300円 |
| X線検査(診断目的・1部位) | 3,300円 |
| 超音波検査(診断目的・1部位) | 3,300円 |
| 照射位置確認のための超音波観察 | 施術料金に含む |
同日に2部位の治療を行う場合、2部位目は6,600円(税込)となります。
左右の同じ部位への照射は、それぞれ1部位として扱います。
ばね指は1指を1部位として扱います。
原則として、1回の治療は2部位までとなります。
照射部位や症状によっては、同日に複数部位の治療を行えない場合があります。
一般的には1〜2週間の間隔で3〜5回程度の治療を行います。必要な回数は疾患や症状によって異なります。
| 治療回数 | 1部位 | 同日2部位 |
|---|---|---|
| 3回 | 29,700円 | 49,500円 |
| 5回 | 47,300円 | 80,300円 |
※上記は自費初診料3,300円を含む総額の目安です。診断に必要な画像検査費用は含まれていません。
※診察の結果、治療を行わなかった場合も、実施した診察・検査の費用がかかります。
※すでに診断・評価が済んでいる場合などは、初診料の取り扱いが異なることがあります。
本治療は自由診療です。当院では、体外衝撃波治療を保険診療としては実施しておりません。
難治性足底腱膜炎については、国内承認機器を用いて一定の条件を満たす場合に保険適用となる治療があり、施設基準を満たす医療機関で受けることができます。当院では、難治性足底腱膜炎を含め、体外衝撃波治療はすべて自由診療として実施しています。
集束型体外衝撃波治療は自由診療となり、保険診療との併用には制度上の制限があります。
現在、当院で診察やリハビリテーションを受けている方についても、症状や治療状況を確認したうえで、適切な治療方針をご案内します。
治療をご希望の方は、診察時に医師へご相談ください。
体外衝撃波治療によって、疼痛の軽減や機能改善が期待されますが、治療効果には個人差があります。
1回の治療で十分な効果が得られるとは限らず、複数回の治療が必要となる場合があります。
また、治療を行っても症状が十分に改善しない場合があります。
治療に伴い、以下の症状が生じる場合があります。
・治療中の疼痛
・治療後の一時的な疼痛増強
・発赤
・腫脹
・皮下出血
・血腫
・しびれ、違和感
治療を行えない、または慎重な判断が必要な方
・妊娠中、または妊娠の可能性がある方
・出血傾向のある方、抗凝固薬・抗血小板薬を内服中の方
・ペースメーカーなど植込み型の医療機器を使用している方
・治療部位やその周囲に感染や腫瘍などがある方
・成長期で、治療部位の近くに骨端線(成長軟骨)がある方
・治療部位に最近ステロイド注射を受けた方
治療前に医師が確認します。
治療後の注意
治療当日は、激しい運動や患部に強い負担がかかる動作はお控えください。痛みが強い場合や、腫れ・皮下出血が続く場合は当院へご相談ください。
当院では、集束型体外衝撃波治療装置「SCRUM」を使用しています。

本治療に使用するSCRUMは、株式会社K.O.techが企画・開発し、海外法人のK.O.tech Global Ltd.が製造した医療機器です。日本国内では、医薬品医療機器等法に基づく承認を受けていません。
本機器は、当院医師の責任のもと、海外の製造元であるK.O.tech Global Ltd.(香港)から個人輸入により入手しています。個人輸入に関する注意事項については、厚生労働省の公式情報をご参照ください。
日本国内には、体外衝撃波治療に使用される承認医療機器が存在します。
ただし、SCRUMはこれらの国内承認医療機器とは異なり、日本国内において品質・有効性・安全性について承認審査を受けた機器ではありません。
SCRUMについて、主要な欧米各国における承認状況や、機器固有の安全性に関する十分な情報は現時点で確認できていません。
そのため、重大なリスクや長期的な安全性について、明らかになっていない可能性があります。
本機器は国内未承認の医療機器です。
医薬品副作用被害救済制度および生物由来製品感染等被害救済制度による救済の対象ではありません。
体外衝撃波治療は予約制です。
治療をご希望の方は、オンライン予約、お電話または当院受付にお問い合わせください。
当院を初めて受診される方については、まず医師が診察を行い、体外衝撃波治療の適応を判断します。
ご予約の変更・キャンセルは、できるだけ前営業日の診療時間内までにお電話でご連絡ください。
ご予約時間に15分以上遅れた場合は、当日の治療が難しくなり、日時を変更していただくことがあります。
無断キャンセルや直前キャンセルが繰り返された場合、今後の予約方法についてご相談させていただくことがあります。
体調不良など、やむを得ない事情がある場合は、当日でも遠慮なくご連絡ください。
※キャンセル料はいただいておりません。