骨粗しょう症
骨粗しょう症
老化などが原因となって骨の量が減少し、骨がスカスカになり、もろくなって骨折リスクが高くなってしまう疾患です。
骨に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル量(骨密度)は、20〜30歳頃の若年期をピークに、歳を重ねるとともに減少していきます。
この骨密度が減少をきたすことによって骨粗しょう症と言われる状態になり、背骨が身体の重みでつぶれたり、背中が曲がったり、変形による圧迫骨折をきたしたり、ちょっとした転倒で骨折すると言った事態を引き起こしがちになります。
60代女性で5人に1人、70代女性で3人に1人、80代女性になると2人に1人が骨粗しょう症になっているといわれています。
高齢者の骨折は寝たきりの原因となるため、骨折しないに越したことはありません。
整形外科医になって、骨折してから後悔している方やその家族をたくさん診てきました。
骨折は予防が非常に重要であり、適切な時期に適切な検査治療を行うことが大切です。
骨の強さを測定する際の重要な尺度の1つに「骨密度」があります。
骨密度検査には超音波を用いたものや手のレントゲンを用いたものなどがありますが、当院では日本骨粗鬆症学会でも推奨されている腰椎と大腿骨近位部のDEXA法が可能な検査装置を導入し、骨密度の測定が可能です。
4ヶ月~6ヶ月に1回、異常がなくとも年1回程度はDEXA法による腰椎、大腿骨等の検査をお勧めいたします。
主に背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形が無いか、いわゆる「いつの間にか骨折」の有無を確認します。
骨粗しょう症と他の病気とを判別するのにも有効です。
カルシウムやビタミンDなど必要な栄養素が接種できているか評価します。
また、骨代謝マーカーを調べることにより、骨の新陳代謝の状態(骨を形成する力がどうなっているのか?骨を分解・破壊する力がどうなっているのか?)がわかります。その他の検査も同時に行い全身状態も確認し、一人ひとりに合った治療方針を検討したり、治療効果の判定を判定したるするうえで必要な検査です。
骨粗しょう症の原因のうち、年齢や性別、遺伝的な体質などは変えることができません。
しかし、変えることのできる要素、つまり食生活や運動などの生活習慣を見直すことにより予防と改善が可能です。
骨粗しょう症の治療や予防に必要な栄養素は、骨の主成分であるカルシウムやタンパク質、および骨のリモデリングに必要なビタミンD、Kなどです。
カルシウムは食品として700〜800mg/日、ビタミンDは400〜800IU/日、ビタミンKは250〜300μg/日を摂取することが推奨されています。
これらの栄養素を積極的に取りながら、しかもバランスの良い食生活を送ることが大切です。
骨粗しょう症の人が避けるべき食品は特にありませんが、リンやカフェイン、アルコールなどの摂り過ぎには注意しましょう。
骨は運動をして負荷をかけることで増え、より丈夫になります。
さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚がよくなったりし、ふらつきが少なくなって転倒防止にもつながるため、運動療法は骨粗しょう症の治療には欠かせません。
骨量を増やすには、激しい運動は必ずしも必要ではなく、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの軽めの運動も効果的です。
散歩などを、可能なら毎日、あるいは週に数回でも有効です。運動量を少しでも増やそうとする心がけが大切です。
症状が進んだケースでは、食事療法や運動療法に併せて薬物療法を開始します。
現在使われている薬には、骨の吸収(分解・破壊)を抑える「骨吸収抑制剤」、骨の形成(新しい骨を作る)を助ける「骨形成促進剤」、骨の栄養素である各種ビタミン(D、K)剤などがあります。
どんな薬を選び、いつから治療を開始するかについては、個々の患者様の年齢や症状の進み具合などを考え合わせながらご相談させていただきます。
骨粗しょう症に関してインタビューを受けており、記事になっております。
【60代女性5人に1人発症】骨粗しょう症の治療法はご存じですか? 骨折はどう防ぐ? | メディカルドック
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